中国人女性が日本でびっくりしたこと

日本へ観光に出かける中国人が増えている。これまでは団体旅行にしか出なかった観光ビザも、先月からはお金持ちに限ってだけど個人にも出るようになった。以下は中国人女性に聞いた「日本に旅行してびっくりしたこと」のいくつかである。

その一、おばあちゃんが派手な化粧をしている!!!

おばあちゃんたちが派手にお化粧して街中を歩いていました。いくら年をとっても私は女よ、男の人を引きつけたい、ということなんでしょうか。髪の毛を紫とかに染めている人もいる。杖をついたおばあちゃんが爪にマニキュアをしている。アイシャドウをしている。おばあちゃんのマニキュアやアイシャドウには思わず笑ってしまいました。中国に観光に来る日本人のおばあちゃんも派手にお化粧しています。それはこれまでにも見ていましたけど、実際に日本でお化粧おばあちゃんをいっぱい見て、あらためてびっくりしました。

中国の女性は60歳を過ぎたら、目立つようなお化粧なんてまずしません。もちろん、肌はきれいにしていたいから、お金のある人や都会の人たちはいろいろ努力します。でも、他人には分からないようにしますね。日本のように、おばあちゃんがこれ見よがしにお化粧していたら、中国では「変態」だと思われます。中国のおばあちゃんがいいのか、日本のおばあちゃんがいいのか、なんとも言えませんけど、日本でおばあちゃんのお化粧にカルチャーショックを受けたのは事実です。

その二、おばあちゃんが働いている!!!

中国の女性は若いころは男性と同じように外で働きますけど、60歳を過ぎたらもう外では働かないのが普通です。家の中で静かにしている人が多いですね。やるのは家事と孫の世話ぐらいです。

ところが、日本ではおばあちゃんがいっぱい外で働いている。日本にいる間、ビジネスホテルのようなところを泊まり歩いたんですけど、若い人に混じっておばあちゃんも頑張っている。ベッドメイキングとか食堂とかですね。街のレストランなんかでもそうでした。日本の友人に連れられて小料理屋さんにも2軒、行きましたが、どちらもおかみさんは70歳代半ばのおばあちゃんでした。もう何十年もこの商売をやっていると言っていました。

日本の女性って、おばあちゃんになってからも、どうしてあんなに働くんでしょうか。働くのが楽しいから? お金が欲しいから? 中国人から見ると、ちょっと不思議な気がします。元気なのはいいけど、お気の毒な気もしました。

その三、ホームレスの人たちが清潔!!!

東京で隅田川のほとりを散歩したことがあります。河岸にはホームレスの人たちのダンボールの「住まい」がたくさん並んでいました。遠くから見ると、美観の上からはいろいろと問題がありますが、近づいてみると、これらが実に清潔です。周りはきちんと掃除してあって、ごみなんか全く落ちていない。ホームレスにまで落ちぶれてしまった人たちなのに立派です。「こんにちは」って、中に入っていきたくなりました。

中国のホームレスはどうなのかですって? 中国にはホームレスなんてほとんどいません。まだまだ家族や親戚の団結が強いですから、家族、親戚さえいれば、ホームレスになることなんて考えられないです。

その四、上から見ると街がきたない、下で見るときれい!!!

東京の一流ホテルの二十何階かにあるレストランでご馳走になったことがあります。上から下を見ると、失礼ですけど、街はまるで「ごみだめ」みたいな感じがしました。建物の大きさ、高さや形がばらばら、色もばらばら、まとまりがなくて、きたないですねえ。大阪の通天閣に登った時も同じでした。ところが、道路を歩くと、印象はがらりと変わります。建物はみんなきれいです。道路も清潔です。

中国の街は上から見ると、なかなかのものです。骨格がしっかりしているとも言えます。上からの眺めは日本の街よりずっと立派です。ところが、街中を歩くとがっかりです。建物は薄汚れている、人々は道路に平気でごみを捨てる、つばや痰を吐く。中国の街と日本の街――ちょうど逆ですねえ。

その五、電柱、電線が目につく!!!

日本の街は下で見るときれいだと言いましたが、例外は電柱と電線です。ちょっと見苦しいです。中国の街にももちろん電柱、電線はありますけど、日本の街のようには目立ちません。私の感じだと、中国のほうが電柱の背が高いうえに、電線の数もそう多くはないからではないでしょうか。日本はちょうど建物の2階の屋根あたりに電線が走っていて、電力の消費量が多いせいか、電線の数も多いです。それに、変圧器というのでしょうか、大きな鉄の箱がくっついている電柱も多いから、よけいに醜悪さが目立ちます。

京都の清水坂を上がって清水寺に行った時もそうでした。清水坂自体はなかなかに風情のある通りなんですが、ちょっと見上げると、電線だらけ、変圧器だらけ、本当に醜悪でした。日本人はあれをなんとも感じないのでしょうか。欧米人の観光客も多かったのですが、彼らがこれをどう感じているだろうかと思うと、同じアジア人として恥ずかしかったです。

日本人の友人に聞くと、日本でも都心部では電線の地中化が進められているそうですが、あの清水坂の景観は先進国日本にふさわしくないですね。日本の恥です。写真を撮ってくればよかったのですが、あこがれの京都でショックを受けて、それどころではありませんでした。

いろいろ悪口を言ったみたいで済みませんでした。でも、全般的には「さすがだ」と感心することの方がずっと多かったです。また行きたいですね。