2017-01-01から1年間の記事一覧

聞き書き「デイサービス」よもやま話 その3(完)

[介護保険の影]認知症がかなり進んでいる80歳代の男性。背中が痛くて座れないと訴えます。看護師を呼んで手当をしてもらうと、かなりよくなったようです。夕方、送り届けた自宅に、今日の様子を伝えるために看護師が電話しました。身元引受人の娘さんが…

聞き書き「デイサービス」よもやま話 その2

[娘が怖い!?]週に4回来て入浴する80歳代の男性の話です。娘さんと同居していますが、食事や洗濯は自分でやっています。と言っても、食事は冷凍の弁当をレンジで温めるだけだそうです。介護保険を利用できる単位が限られているため、自宅にヘルパーは…

聞き書き「デイサービス」よもやま話 その1

僕は昨年、「介護職員初任者研修」を受けたが、同じくこの研修を終えた中年女性が最近、東京都内の「デイサービス」の介護施設でアルバイトとして働き始めた。なかなかに大変らしい。毎日、それこそ疲れ切ってしまうそうだ。11月11日は「いい日、いい日…

総選挙――我らが泥縄の戦い

今回の衆議院議員選挙では10月10日公示の「6日前」に出馬を決めた男がいる。これまで「地盤」「看板」「鞄」のいわゆる「三バン」とは無縁だった。もちろん、選挙事務所をどこに置くのかさえ、あてもなかった。無謀と言えば無謀だが、文字通り健闘し、…

「カズオ・イシグロ」を探しくたびれて

カズオ・イシグロさんが今年のノーベル文学賞を受けることになった。僕は彼の名前だけは知っていたが、作品はまったく読んだことがない。でも、友人とのマージャンのあとの居酒屋で、彼の作品が話題になることもあるだろう。そんな時に一家言がないようでは…

団地の「敬老会」に出て分かったこと

僕が住む埼玉県川越市の住宅団地の自治会から「敬老会」の案内状が届いた。だが、僕はふだん、「老」という名前がつく集まりは敬遠している。まだまだ「年寄り扱い」はされたくない。そんな勝手なうぬぼれがあるからだ。ただ、案内状を見て少し意外に感じた…

仏教徒たちの会食

地方に住んでいる中国人一家から「東京に1泊で旅行します。浅草見物です」と言ってきた。30歳代の夫婦と3歳の娘さん、夫の60歳代の母親の4人家族で、妻のLさんが中国の大学での僕の教え子である。Lさんは日本に留学してそのまま働いていたが、中国に…

後期高齢者の求職奮戦記

新聞に挟み込まれたタブロイド版の求人情報紙をめくっていたら、わが家からそれほど遠くはない所にある「グループホーム」が正社員とパートの介護職員を募集していた。しかも、パートのほうは「無資格・未経験の方も歓迎」とある。僕は去年、「介護職員初任…

「年寄りで酒飲み」の不覚三題話

年甲斐もなく恥ずかしい話なので、詳細は省くけれど、1か月半ほど前、知人たちと居酒屋で飲んだ折に、思いもかけず、しくじってしまった。そのとき僕は生ビールを大ジョッキで1杯空けたあとは、もっぱら日本酒を冷やであおっていた。なんでそんなに飲んだ…

悲喜こもごも、後期高齢者の運転免許証更新

僕の運転免許証はこの秋の誕生日で更新の時期になるが、前回の更新時とは手続きが変わるとのこと。そんな通知が警察から来た。僕も後期高齢者になり、まず「認知機能検査」つまり記憶力と判断力の検査を受けなければならなくなったのだ。これに合格したら「…

活動老人の交通費貧乏

僕は埼玉県に住んでいる。東京・池袋まで私鉄の急行電車で40分足らず、近くはないけれど、それほど遠くもない。多いときは週に3〜4回は利用する。無職で、いわゆる後期高齢者なのに、我ながら割合に活動的である。日比谷公園の向かい側にある日本記者ク…

施設での介護は「老老」で

僕は1年ほど前に「介護職員初任者研修」を受けて合格し、介護の現場で働く資格を手にした。そこで、介護の仕事があったら働いてみたいものと思い、折に触れ探しているが、いまだに見つからない。介護施設の職員募集広告を見ると、資格なしでもOKと書いて…

台湾独立運動と日本

去年から今年にかけて台北にいたときには毎日2時間、3時間と街中を歩き回った。そんなある週末、東京で言えば浅草、大阪で言えば新世界といった感じの街「西門」にいると、高さ5〜6メートルはありそうなのぼりを、それぞれ1本ずつ担いだ4人の中年男が…

中国を知らない日本人 日本に詳しい中国人

「中国にはスマートフォン(スマホ)はありますか」 「LINE(ライン)は?」 「中国にはマグドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)みたいなファストフードの店はありますか」 「中国には傘はありますか」 「中国人は家庭で料理を作りますか」…

死ぬまで「自立」を目指して

東京の駒沢オリンピック公園。1964年の東京オリンピックでも使われた場所である。そのサッカー場で60歳代、70歳代から80歳代の男たちが月に2回、水曜の午後、「水曜練習会」と称してボールを蹴っている。僕は学生時代に始まって就職してからも長…

薄味に慣れたい

先般、台北でしばらく過ごした際、郊外へ泊まりがけの小旅行でもしない限り、朝食と夕食は下宿の奥さんの手料理の厄介になっていた。彼女からは毎回のように「これ、台湾料理なんですよ」という説明がついた。料理を残すことはなく、いつも満足して平らげて…

外国人が驚く「勘定は別々に」

ポルトガルからの女性の留学生がラジオで話していた。「日本に来てまもない頃、大学のサークル仲間の数人と初めて食事に行きました。話が弾んで、ああ、これからこの人たちと一緒に過ごせるんだ、と嬉しくなりました。ところが、勘定の時になってびっくりし…

台湾の老人割引 外国人にはやや冷たいけど

知人を台北の桃園国際空港まで見送ろうと、鉄道の台北駅近くのバス停留所に行った。台北に着いて1週間後のことである。空港までのバス料金は1人125元(銀行での当時のレートだと、1元=3.75円)で、2人分250元を切符売り場に差し出した。する…

台湾 トイレ事情

去年の12月、台北に着いてすぐ、それからの生活に必要な物をいろいろと買いそろえた。化粧せっけん、シャンプー、風呂上りの乳液、それから大量の携帯用ティッシュ・・・ところが、せっけんなどは毎日、減っていくが、携帯用のティッシュだけはいっこうに…

台湾人の「洒落」「ユーモア」

第二次世界大戦の後、中国では蒋介石が率いる国民党と、毛沢東が率いる共産党が主導権を巡って戦った。いわゆる「第二次国共内戦」で、勝った共産党が「中華人民共和国」をつくり、敗れた国民党は台湾に逃れて、それまで通り「中華民国」と称してきた。その…

台湾 花蓮の旧移民村に残る「日本」

台北から台湾鉄路(台鉄。日本風に言えば、在来線)の特急で2時間半ほどで、台湾の東海岸にある「花蓮市」に着いた。有名な観光地である。台北―花蓮は当日券を取るのがなかなかに難しい人気路線だそうだ。花蓮の景勝地は主に町の北方に広がり、南方はほぼ農…

台北 使いやすい地下鉄

東京に来た台湾人旅行客が「台北に比べ東京の地下鉄は路線が分かりにくい。乗り換えも不便だ。運賃はかなり高めなのに」と文句を言っている。そんな話を耳にしたことがある。でも、巨大都市の東京は路線の数そのものが多いのだから、多少は分かりにくくても…

台北 こころやすい街

台北の街角で、50歳くらいの女性に「近くに地下鉄の駅はないでしょうか」と尋ねてみた。彼女は北京語(台湾では中国語のことをそう呼んでいて、台湾の国語である)で答え始めた。だが、僕が日本人だと分かったのだろう、「あっち」「そこを」「まっすぐ」…

危機を乗り越えて 謹賀新年

謹賀新年。本年もお付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。暮れの25日に羽田空港から上海浦東空港経由で台北の桃園空港に向かった。いま日本で働いている中国人の教え子のひとりに、飛行機の安い切符を探すのが上手なのがいる。その彼女に頼んだら…