驚きの国 日本

この夏、わが塾の生徒二人が初めて日本を旅行してきた。ともに20歳代半ばの女性。日本旅行と言っても、わずか1週間、大阪、京都、名古屋を駆け巡っただけだが、驚きの連続だったみたいだ。聞いてみると、些細なことばかりのように思えるが、以下はその「土産話」あれこれである。

街を歩いていると、旅行中でもなさそうなのに、かばんを二つも下げていたり、キャリーつきのバッグを引いていたり、荷物の多い女性が目立ちました。中国では買い物帰りでもない限り、そんな女性はまず見掛けません。着替えが入っているのだと教えられました。日本の女性は2日続けて同じ服を着ないと聞いていますが、家に帰らなかった時に備えてのことでしょうか。あるいは、仕事の後のデートに備えてでしょうか。ロッカーが地下鉄やJRの駅などあちこちにあって、利用する女性が多そうなのも不思議でした。ロッカーやかばんの中には化粧品なんかも沢山入っているのでしょうか。(以下、カッコ内は僕のコメントだけど、以上のようなことを今まで僕自身は感じたことがなかった。僕が「かばんが二つ? そうかなあ?」と言うと、彼女たちは「間違いありません。自分の目で見たのですから」と答える。今度、よく確かめてみよう)

日本では、女性の服装を見ると、職業や年齢が大体分かるような気がしました。つまり、OLはOLなりの、主婦は主婦なりの、それも年齢に合った服装をしているように感じました。南寧ではおばさんが少女向けの服を着ていたり、若い人が老人の服装だったり、服装にルールがありません。おかしいです。日本はきちんとしています。また、日本ではアニメの主人公みたいな格好をしているのが大学生のようです。面白かったです。

街中で「掃除のおばさん」を一人も見掛けませんでした。中国では至る所に掃除のおばさんがいます。彼女たちがいないと街はごみで埋まってしまうでしょう。日本は掃除のおばさんがいないのに、ごみが落ちていない。不思議な感じでした。ごみ箱は分別収集のために何種類もの箱が並んでいました。これまでも話には聞いていましたが、実際に見て感動しました。(わが南寧の名誉のために少し弁解すると、亜熱帯で、かつ緑の多いこの地では冬も夏も街路樹からの落ち葉が実に多い。掃除のおばさんがいないと、街はごみだけではなく落ち葉で埋まってしまうかも知れない)

街中で「パジャマ姿」を一人も見掛けませんでした。(例えば上海では2010年の万博の時、外国人の目を気にしてか、パジャマ姿で外出しないように呼び掛けられたが、都心部から離れると今でもパジャマ姿の外出を見掛ける。もちろん、わが南寧では老若男女を問わずそれは実に頻繁である)

ホテルで朝食に行くと、そのホテルの宿泊客かどうかを確認せずに食事を提供していました。中国ではあり得ないことです。厳しくチェックします。それに、街のレストランではどこでもにこにこと温かく応対してくれるので、食事のたびに楽しくなりました。(朝食の件、日本のホテルでは一般的にどうなのかは知らないけど、これは2泊した「東横イン」での体験である。このホテルチェーンでは毎朝、1階のロビー兼食堂でお握りや味噌汁、パン、コーヒーなどを「無料」で出している。その際、確かに宿泊客かどうかのチェックは表立ってはしていない。一度、宿泊しないで食べにだけ行ってみようかしら)

地下鉄などで「女性専用車両」を見掛けました。日本は女性を大切にしているのだなあと感心しました。聞くと、痴漢がいるから女性専用車両ができたのだそうですが、そもそも女性を大切にする気持ちがないと、こんなものは作らないと思います。それと、上海に戻って地下鉄に乗ると、日本の地下鉄とは違ってがたがた揺れるので怖かったです。

街角に小さな平屋があるので近付いて行ったら、ガラス張りの「喫煙所」でした。中で10人以上の男性がたばこを吸っていました。吸わない人たちに迷惑をかけないように、喫煙者はこういう我慢をしているんだと、これも感心しました。(中国でも上海の空港で同様の喫煙所を見掛けたことがある。ただし、戸が開けっ放しだった)

(実は彼女たちのこの旅行には僕が付き添ったのだが、僕も久し振りの日本で驚いたことがある。コンビニで缶ビールを下げてレジに行くと、「未成年者には酒類を販売しません。年齢確認実施中」とある。それはそれでいいのだが、パソコン画面のようなものに突然、明かりがつき、僕に質問が突き付けられる。「20歳以上ですか?」。で、「はい」という表示を押さないと、ビールを売ってもらえないみたい。コンビニで何度も体験した。僕はすでに古希を過ぎているが、よく若々しいと言われる。未成年者に見えるのかも知れない。でも、こんなことを真面目にやっている日本人って・・・)