喪中はがきと年賀状を合体した「喪中年賀状」はいかが

毎年、年賀状を交換している相手から「喪中はがき」が舞い込む季節になった。同じ差出人でも年賀状の際は、近況が書いてあったり、時には家族の写真が添えてあったりして、内容に個性がある。ところが、喪中はがきは普通、「喪中につき新年のご挨拶は失礼させていただきます」の後、「本年〇月、母〇〇が95歳にて永眠しました。本年中に賜りましたご厚情に・・・」などとあるだけで、言うならば没個性である。

亡くなった方に生前、会ったことがあれば、感慨にふけることもあろうが、まず100パーセントは知らない人たちである。差出人にとっては肉親なので、年賀状なんかを出す気持ちになれないのかもしれない。だけど、受け取ったほうとしては、「あんたも一緒に悲しめ」と言われているみたいで、押しつけがましい感じがしないでもない。

かねがねそんなことを思っていると、この春、妻の弟ががんで亡くなった。さて、喪中はがきや年賀状はどうするか、妻から相談された。

故人は僕にとっては義弟ではあるが、僕が年賀状を交換している相手には、まったく関係のない人物である。喪中はがきを送ったりしたら、かえって相手はびっくりするかもしれない。普段通りの年賀状がむしろ自然だろう。

ただ、妻のほうは実弟であり、さすがに年賀状を出す気持ちにはなれない。そうかと言って、喪中はがきで済ませるのも気が進まない。相談を受けた僕はひとつの「アイデア」を提供した。喪中はがきと年賀状を「合体」させる案だ。

まず冒頭に「新年おめでとうございます」「謹賀新年」とは、さすがに書きづらいので、代わりに「寒中お見舞い申し上げます」とする。ついで、「いかがお過ごしですか」「お健やかに新年を迎えられたことと存じます」などと書いてから、こちらの近況についても記す。このあたりは普段の年賀状と変わりはない。

違うのは、そのあとに「実は去年3月、弟の〇〇が・・・」と、なぜ「寒中見舞い」になったかの理由を書くところだ。このようにすれば、喪中はがきと年賀状が「合体」した「喪中年賀状」とも言える新しいものが生まれはしないだろうか。投函の時期はこれまでの喪中はがきからはかなり遅らせ、新年早々に届くようにする。元日に届いたって、一向に構わないだろう。

喪中年賀状に使うはがきだけど、いわゆる「お年玉付き年賀はがき」でもいいのではないか。このお年玉自体は大したものではないけれど、喪中年賀状だからといって、なんの特典もなければ、受け取ったほうは少しがっかりするのではないだろうか。

また、いまのお年玉付き年賀はがきが喪中年賀状にしてはやや派手すぎるというのなら、日本郵政にもう少し地味なものを出してもらってもいい。喪中年賀状が増えてくれば、日本郵政もそのためのはがきを用意してくれることだろう。

先日の新聞投書欄に「喪中はがきは必要か否か」について、いろんな意見が載っていたが、喪中年賀状が普及すれば、そんな悩みもほとんど解決するのではないだろうか。