謹賀新年 久しぶりに「老人優遇!?」の中国で正月

このブログ「なんのこっちゃ」のタイトルには「桂林&南寧&・・・発」とある。10年以上前、桂林にいた時にこれを始めたので、「桂林」が最初に出てくるのだが、近年はその桂林の話がほとんど出てこない。タイトルと中身がずれている。申し訳ない。そこで久しぶりに、懐かしい桂林にしばらく滞在してみることにした。

桂林時代の教え子で、日本に留学中の中国人女性に頼んで、出来るだけ安い飛行機の切符を取ってもらった。結果、早朝6時40分、東京・羽田空港発、香港で乗り継ぎ、夕方桂林に着く便を頼んでくれた。ともに香港の「キャセイ・ドラゴン航空」である。

ただ、外国の空港での乗り継ぎというのは、どうも苦手である。2年前、上海経由で台湾に行った時には、乗り継ぎの便に乗り遅れるは、焦って上海空港のどこかにパソコンを置き忘れるは、おまけにスーツケースが行方不明になるは、まさに「三重苦」で大汗をかいた。

そんなことが思い出されたので、羽田空港でチェックインする時、カウンタ―の女性についくどくどと乗り継ぎについて尋ねてしまった。すると、傍らにいた別の女性が「もし、ご心配なら、香港で次の搭乗口までご案内させますが・・・」と言ってくれた。もちろん、お願いした。2人が香港人か日本人かは分からない。

搭乗した飛行機はほぼ満員。日本人の女性乗務員が2人いることが放送で分かった。離陸して1時間ほど経った頃、通路を歩いてきた日本人乗務員の1人が僕に向かって「何かお飲み物はいかがですか」と言う。ほかの乗客は無視して、僕だけに声を掛けてきたみたいだった。

まだ、朝も早いので、僕は恐る恐る「ビールでもいいですか」と、小さな声で答えたら、まもなくピーナッツのおつまみまでつけて、缶ビールが届いた。飲み終わってしばらくしたら、また彼女が通りかかった。空の缶を返すと、「もうひとつ、いかがですか」。ありがたく頂戴した。エコノミーの客なのに、VIP待遇を受けているみたいだ。

さらに、彼女が言うには、「飛行機が香港空港に着いた後は、席を離れずに待っていてください。ほかのお客様がみんな降りられてから、次の搭乗口までご案内します」とのこと。もちろん、客室乗務員の彼女はそこまでは付き添えないので、地上の職員が次々にバトンタッチして連れて行ってくれた。

乗り継ぎの飛行機が離陸してしばらくすると、女性の客室乗務員が「ミスター・イワキですか」と言いながら寄ってきた。多分、香港人だろう。流暢な英語がちゃんと聞き取れず、トンチンカンな受け答えをしていると、乗客の中から日本語のできる男性を連れてきた。想像するところ、非番の同僚のようだった。伝えられた話は簡単で、「飛行機が桂林に着いた後、ここでそのまま待っていてください。ご案内します」とのことだった。連絡が届いていたのだろう。

桂林空港でも代わる代わる職員が現れて案内された。ただ、出口まで案内してくれた男性の英語もよく聞き取れない。すると、スマホの画面に「受け取る荷物はありますか」「誰かが出迎えに来ていますか」などと、英文で書いて示してくれる。さすがの僕もこの程度の英語は分かるので、意思疎通に不自由しなかった。

かくして無事、懐かしい桂林の町に着いたのだが、出迎えてくれた教え子にこの話をすると、「最近の航空会社は先生のようなお年寄りの一人旅は歓迎しないんです。何かあったら、困りますからね」とのこと。航空会社の皆さんの心優しい対応に感激していたのだけど、あれはどうも不慮の事故などに備えてのことだったようでもある。感謝の気持ちに少し水を差された感じになってしまった。