桂林街中「障害物」図鑑




写真①で道路からニョキリと突き出しているのは、たぶん消火栓であろう。東京で言えば「銀座4丁目の交差点」といった感じの桂林市の都心部にある。何度かぶつかりそうになったことがある。写真②の消火栓(男性の足元、向かって右側)はさっきの奴よりずっと背が低い。それだけに、目につきにくく、かえって怖い。近づくと、写真③のような形をしている。やはり「銀座4丁目」の、ちょっと裏に入ったあたりにある。もし、こんなのにぶつかったり、つまづいたりして大怪我をしても、この国では役所もどこも相手にしてくれないだろう。転んだほうが悪い。すべては自己責任である。


日本に比べて中国は、街の並木をずっと大切に扱っているような気がする。道路の拡張か何かで、それまであった並木が邪魔になっても、簡単に切ってしまったりはしない。少々邪魔でも大切に残しているのを、何度か見かけたことがある。桂林では歩道の半分くらいを並木が占領している所もよくある。でも、写真④はいささか行き過ぎじゃあるまいか。頑丈に守られた並木と、ビルの前の階段に挟まれて、人間が歩ける幅は30センチほどしかない。すれ違う時には、一方が階段に上がるしかない。だけど、まあ、緑を守るためには、この程度の不便は我慢のうちなのかも知れない。


写真⑤は某デパートの前。獅子が歩道をふさいで鎮座している。もう一頭もやはり歩道上だが、少し奥まった所にいる。でっかい奴なので、すぐ目につき、ぶつかることはまずないが、歩行者にとってはまことに邪魔である。もっとも、想像だけど、獅子たちはもともとはデパートの敷地内にいたのだが、道路の拡幅工事でここに取り残されてしまったのかも知れない。



桂林にはスクーターが多い。車も多いが、「スクーターの街」と言ってもいいくらいである。やがては車へと替わっていくのだろうが、それはそれとして、スクーターの駐車場所が街中いたる所の歩道の上である。写真⑥と⑦は最初に書いた「銀座4丁目の交差点」のあたり。一角に日系のデパート『微笑堂(ニコニコ堂)』がある。その脇、北側の歩道のほとんどがスクーターに占領されている。歩道は人がやっとすれ違えるほどしか空いていない。最初は「違法駐車」かと思ったのだが、聞けば、そうではない。当局が何がしかの駐車料を取っていると言う。カネが稼げるなら、歩行者の少々の不便なんて・・・ということか。


最後(写真⑧)はいわゆる「障害物」ではない。広い歩道を進んでいくと、それがだんだんと狭くなり、やがて消えてしまうのだ。わが塾からそう遠くない所にある。歩道がないので、次に歩道がある所までしばらく車道を歩かなければならない。こういう奴も障害物も歩行者の「敵」である。でも、僕のように、何かイチャモンをつけてやろうと、写真まで撮りながら歩いていると、見つけるたびに「あった、あった」と嬉しくもなってくる。