毒ギョーザ事件の結末

日本人 もう2年以上前になりますかねぇ、あなたと毒ギョーザ事件について話したことがありました(2008年3月1日『毒キョーザ事件の行方』ご参照)。あの時、あなたは「中国側の本音は、この事件をうやむやにして、早く終わらせることだ」と言っていました。でも、この前、容疑者が捕まりました。ギョーザ会社の臨時従業員が給料や待遇への恨みから、注射器で有機リン系殺虫剤メタミドホスをギョーザに入れたということでした。一応「うやむや」にはなりませんでしたね。

中国人 中国側の本音が「うやむや」であることには、なんら変わりはないでしょう。でも、日本側がこの事件について意外にうるさいので、仕方なく日本向けにケリをつけた、というところではないですか。

日 日本でいろいろ言われているんですが、捜査結果の発表内容には不自然なところがいっぱいです。容疑者の自供に基づいて下水道を探すと、犯行に使った注射器が2本、見つかったとか。なんで2年以上もじっとそこにいたんですかねぇ。しかも、メタミドホスがまだ注射器についていたとか。それに・・・。

中 言い出したら、キリがないですね。当局の発表だと、容疑者は注射器を使って殺虫剤をギョーザに入れるくらいですから、かなり知恵のある人間です。以前にもこの件で警察に拘束されたことがあると言います。じゃあ、なぜ捕まる前に逃げなかったのでしょうか? なぜ捕まるのをじっと待っていたのでしょうか? 場合によっては死刑になるかも知れないのに・・・おかしいですね。ですから、私は今度の発表そのものが絵空事じゃないかと疑っていますね。ナントカという容疑者もそもそもは存在しない。そう考えれば、発表内容の不自然さにも納得がいくのではないでしょうか。

日 絵空事ですって? 大胆ですねぇ。でも、容疑者の顔写真も日本では報道されているようですよ。

中 そんなもの、どうにでもなるのではないですか。何しろ事件は中国で起きているんですから・・・この地では何ごとでも起こりえます。

日 日本のマスコミは容疑者の親にも会いに行ったりしているようです。容疑者が存在しなければ、親も存在しないはずです。

中 それだって、どうにでもなります。例えば、その記者とかカメラマンとかは中国語を話せるのでしょうか?

日 中国に駐在していれば、もちろんできるでしょうね。

中 でも、それはせいぜい「普通話」(共通語)のことでしょう? 中国では山ひとつ越えたら、村ひとつ違ったら、言葉が通じなくなる。そういう所も多いってこと、あなたもご存知でしょ?

日 ええ、まあ。

中 日本の記者やカメラマンは結局、言葉が分からない。中国の官憲や通訳に頼らざるを得ない。どうにでも騙せるのではありませんか。

日 ウーム。でも、中国の官憲もそこまでやるかなあ。

中 私は何も確かなニュースソースがあってこんなことを言っているわけではありません。あくまで私の推測ですが、普通の中国人、それもちょっとものを考える中国人が、今回のような発表を聞いた時、まずどう感じるかということをお話ししているだけです。あなたのように、発表にいちいちイチャモンをつけるなんて、時間の無駄です。

日 あなたの推測がもし正しかったら、ちょっと具合が悪いですなぁ。鳩山政権は「中国側の努力を評価する」なんて言ってるんですから。

中 そこまで言う必要は全くなかったですね。「中国側からかくかくしかじかの報告があったので、これから検討する」といった程度のことでよかったのに・・・失礼ながら、日本政府もちょっとおめでたいですね。前にも言いましたけど、日本は結局、中国になめられているのではないでしょうか。日本人は中国人を馬鹿にして、自分たちより一段か二段、低く見ているようですね。でも、中国人とりわけ漢民族は、権謀術数にかけては日本人なんかの及ぶところではありません。

日 わが日本も踏んだり蹴ったりですなぁ。

中 いえいえ、そんなことはありません。2年間も執拗に頑張って、ついに「捜査結果」を発表させたわけですから、随分と成長していますよ。

日 ひやかされているみたいだけど、まあ、いいや。日中友好を祈って乾杯しましょう。乾杯!!

中 中日友好を祈って乾杯!! ところで「中日友好」「中日友好」と唱えていたら、どのくらいおカネが入ってくるのでしょうかね? お題目を唱えるだけじゃ、ばかばかしくて・・・。

日 ・・・ ・・・。