四輪車「もどきエンブレム」図鑑 海外メーカー篇

街中でスクーターやバイクのマーク、エンブレムを眺めては「HONDA」の真似だ、「SUZUKI」のパクリか、なぞとやっているうちに(12月15日付「『NDNDA』・・・」をご参照)、四輪車についてもそれを注意して眺める癖がついてしまった。やっていると、これがまた面白い。二輪車と同じように、中国ブランドには外国ブランドの「もどき」がごまんとあるからだ。

しかも中国では日本、韓国、欧米と、世界各国の車が走っている。まるで「国際自動車ショー」が毎日、街中で繰り広げられているみたいだ。その分「もどき」の種類も実に豊富である。傑作あり、駄作あり・・・すでに報道されているものもあるだろうが、僕なりに桂林の街で「集大成」してみた。

まずは、ドイツの「メルセデス・ベンツ」。日本でと同じように、この地でもなかなかに人気がある。本物のエンブレムは下の写真の一番上にあるように、中央から3本の「矢」が伸びている。「スリー・ポインテッド・スター」と言うそうだが、中国ブランドの「もどき」はこの「矢」が増えて4本になり、5本になる。自動車販売店が並ぶ道路を歩いていたら「メルセデス・ベンツ」と5本の矢の「ベンツもどき」が隣り合って店を構えていた。(ところで、上で「本物」のエンブレムと書いているが、この記事中の写真はみんな街中で撮ったものだ。従って、本当に「本物」なのかどうか、100パーセントの自信はない。この地ではなんだってありうるからだ)。



「矢」の数が増えていくのが「ベンツ」なら、「輪」の数の減るのが同じドイツ車の「アウディ」だ。本物の四つの輪が「もどき」では二つになっている。せめて三つは欲しかったところだが、面倒くさかったのだろうか。

同じくドイツの「BMW」もこの地では非常に人気がある。そして、中国ブランド「BYD」のエンブレムは色合いと言い、何と言い、誰が見ても「BMW」にそっくりである。当然「BMW」から抗議を受けたこともあったが、確信犯なのであろう、依然健在である。

やはり中国ブランドの「GEELY」のエンブレムは、形こそ「BMW」とはちょっと違う。でも、空色を使っているなど、雰囲気がよく似ている。街中を歩いているうちに、ハタと気がついた。エンブレムの形はチェコ車「スコダ」(SKODA)に似ているのだ。形は「スコダ」、色合いは「BMW」と、二つの車をコピーしたような、かなり程度の高い「もどき」である。ちなみに、ドイツのフォルクスワーゲン傘下のこのチェコ車、日本ではめったに見掛けないが、桂林ではちょくちょくお目に掛かる。

とにかく、デザインから何から何まですぐ外国の車をコピーする、と世界中から評判の悪い中国の自動車メーカーである。しかし、中国メーカーの名誉のために言うと、ことエンブレムに関しては独自のものも少なくはない。とは言っても、多勢に無勢、やはり「もどき」「パクリ」の類が目立ってしまうのである。

で、次もやはりドイツ車「オペル」。これはアメリカGMの傘下にあり、「ベンツ」や「BMW」に比べると数はずっと少ないが、「もどき」はそれなりに存在する。下の写真の一番上が本物のエンブレム。あと二つが「もどき」だが、どこか投げやりな真似方である。


同じGMの車では「ビュイック」をよく見掛ける。同社の再建に中国人民が協力しているのではないか、と思いたくなるくらい、カラフルなエンブレムが桂林の街を走り回っている。ところが、「もどき」の方は色もなく、素っ気ない。3本の「柱」だけを真似ている。アメリカの車では「フォード」も多いが、「もどき」の方はこれも単純である。



次はフランスの「シトロエン」。この「もどき」も素っ気なくて、本物のエンブレムを丸で囲んだだけ。バスなど商用車にこいつが多いが、先のオペル以下、「もどき」作成に当たってはもう少し知恵を絞ってほしい気がする。

最後は韓国の「ヒュンダイ」(現代)。本物のエンブレムはアルファベットの「H」を少し傾けている。ただし、これ自体が日本の「ホンダ」の真似であることは歴然としているが、中国ではこの「もどき」をさらに真似た「二次もどき」にお目に掛かる。この世界では韓国より中国が一枚上なのであろう。次の写真3枚のうち一番目がヒュンダイ、二番目、三番目が中国の「もどき」である。二番目は「N」のようにも見えるが、ブランドから判断すると、立派な「H」である。二、三番目はバスについていた。


外国車のエンブレムではなく、スポーツ用品の「アディダス」を真似たエンブレムの車も見掛ける。車ではなくほかの商品なら、真似ても文句を言いにくいだろう、そう考えて「盲点」を突いたつもりだろうか。では、次回は日本メーカー篇の「もどきエンブレム」図鑑です。